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「ChatGPTは1回に何件引用する?」5件と15件に割れた数字を自社の物差しに変える

POINT この記事のポイント
  • 「1回答あたりの引用本数」はどの調査でも同じ、って前提
  • Geminiでは8件と3件、ChatGPTとの大小が逆転

「その平均、どの調査から持ってきた数字ですか」

役員向けの資料に、他社調査の平均値を1行だけ貼ったことがあるんですよね。「ChatGPTは1回の回答で平均◯件を引用している」というやつですね。

その1行が、別の調査を持ってきた人と会議で噛み合わなくなりましてね。同じ名前の指標なのに、値が3倍ほど違うんです。

へクス子もここで詰まりました。どちらかが間違っているのか。それとも、両方とも正しいのか。

並べたのは、AIの回答に出た2,500万件超のリンクを数えた集計と、米国のプロンプト1億2,600万件を数えた集計であります。

ChatGPTは1回の回答で何件くらい引用しているのか

調査によって割れます。Muck Rackの集計では5件、Semrushの集計では15件でありました。

Muck Rackが数えたのは、AIの回答に含まれた2,500万件超のリンクです(2026年5月7日公表の第3版R)。対象はChatGPT・Claude・Geminiの3つ。

Semrushのほうは、米国のAI検索プロンプト1億2,600万件を2026年1月から4月にかけて分析したものですね(R)。対象はChatGPT・Gemini・Google AI Mode・AI Overviewsの4つ。

プロンプトってのは、AIへ投げる質問1回ぶんのことです。

「1回答あたりの引用本数」ってのは、AIが1回答える間に出典を何本並べたか、という数え方ですね。指標の名前としては、どちらの調査も同じものを掲げています。

で、その同じ名前で片方が5件、片方が15件。3倍の開きですな。

割れているのは平均だけではありません

Geminiの側も並べてみると、大小関係まで逆でした。

  • Muck Rack: ChatGPT 5件 / Gemini 8件
  • Semrush: ChatGPT 15件 / Gemini 3件

Muck Rackを見ればGeminiのほうが多く、Semrushを見ればChatGPTのほうが多い。どちらの資料を持ってきたかで、「出典をたくさん並べるAI」が入れ替わってしまうわけですね。

値の差だけなら、測定のばらつきで説明がつくかもしれません。ただ、順序がひっくり返るとなると、そもそも同じ量を測っていない疑いが出てきます。

数え方と条件は、どこまで違うのか

公表資料から拾えるかぎりの違いを、並べてみます。

  • 測定した期間(Semrushは2026年1〜4月と明記、Muck Rackは明記なし。Muck Rackは2026年5月公表の第3版)
  • 対象プラットフォーム(3つ 対 4つ)
  • 対象地域(Semrushは米国と明記、Muck Rackは明記なし)
  • 規模の単位(2,500万リンク 対 1億2,600万プロンプト)

リンク数とプロンプト数は、同じ物差しに載りません。

片方は回答に出てきた出典の本数を数え、もう片方は投げた質問の回数を数えている。ご飯の量を数えた店と、注文の回数を数えた店を、同じ「大盛り」の一言で並べているようなものであります。

へクス子はここで、2社の数字を同じ表に並べるのをやめました。

ただ、「1件の引用」をどう判定したのかは、どちらの発行者も公開しておりません。ですから、上の4点が食い違いを生んだと断定することはできない。ここから先は推定です。

他社調査の平均値は、資料のどこへ置けば使えるのか

どちらも自社で計測して自社で公表した数字です。Muck RackはPR・広報向けのツール、Semrushはこの手のAI可視性トラッキングを売っている会社ですな。

利害があるから嘘だ、という話にはなりませんな。ただ、どちらの数字も「自分の条件の中では成立している」以上のことは言えない、ということですね。

だとすると、どちらかを選んで自社の目標値に据える、という使い方が成り立たなくなります。選んだ瞬間に、自社とは違う期間・違うプラットフォーム・違う地域の平均を追いかけることになりますからね。

では、資料に載せること自体がだめなのか。そちらは構いませんよ。「どの調査の、いつの、どの範囲の値か」を数字の隣に添えておけば、読んだ人が条件ごと受け取れます。

自社の数字が日ごとに揺れる話はAI可視性レポート07で3日ぶんを並べた回に置いております。あちらは同じ条件の中での揺れで、今回は条件そのものが違う場合。層が別なんですよ。

自社の物差しを3つ決めてから測り始める

何を1件と数えるか。どのモデルで測るか。どの頻度で測り直すか。

この3つを先に決めて、レポートの隅へ「測定の条件」として書いておきます。決めてから取った数字どうしなら、前の月と並べて差を読めますからね。

他社の平均値のほうは、目標値の欄から外してよいでしょう。同じ条件で取られたものではないので、超えても届かなくても、何が起きたのかを読み取れません。

調査そのものを捨てる必要はありませんよ。業界の相場観を掴むには十分に使えます。置き場所を目標値の欄から、地図の側へ移すだけですな。

出典

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