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「AIに聞いたら正確でしたよ」は96%正解。自社名を抜いて測り直す話

POINT この記事のポイント
  • カテゴリ質問で測ると150ブランドの89%が出てこない
  • 確認プロンプトを「正しさ」と「出番」で仕分ける棚卸し

「AIに聞いてみたら、ちゃんと答えてくれました」

先週の定例で、担当者がこう報告しておりました。「ChatGPTに自社のこと聞いてみたんですけど、けっこう正確でしたよ」と。

へクス子も、その場では安心した側でしてね。AI可視性の確認は済んだ、という扱いになったわけです。

AI可視性ってのは、AIの回答のなかで自社がどう扱われているかのことですな。名前が挙がった回数と、その語られ方の両方を指す言葉ですね。

ところが、150ブランドを対象にした米国の測定を見ると、この確認のしかたには落とし穴がありました。

米国のSEO代理店Victoriousが2026年第2四半期に実施した調査であります(発行元自身の四半期レポート)。

AIは自社ブランドを正しく認識しているのか

ほとんどのブランドは、AIに正しく認識されています。8つのAIに150ブランドを説明させたところ、正しく説明された割合は96%だったそうな。

対象AIはChatGPT、Claude、Gemini、Copilot、Perplexity、Google AI Overviews、Google AI Mode、Meta AIの8つですね。

業種別に見ても、Google AI Mode・Gemini・ChatGPT・Google AI Overviews・Copilotはどの業種でも83%以上の認知率でした。

83%を下回る業種があったのは残りの3つで、Claudeは70〜91%、Perplexityは47〜100%、Meta AIは46〜83%。PerplexityはSaaSで47%、Meta AIも同じくSaaSで46%。

自社の買い手が主に使っているAIは、この8つのどこに入りますか。

ここまでは「AIはブランドを知っている」という、伸びる側の話です。自社名を入れて聞く確認プロンプトが、たいてい正解を返すのもそのためですな。

AI可視性の確認テストで、測る質問を変えると何が起きるのか

発行元は同じ150ブランドを、自社名を出さないカテゴリ質問でも測っている。回答に一度も出なかったブランドが89%でした。

質問の形は、たとえば「米国で最も良い法律事務所は」。買い手が実際に打つ聞き方ですね。

5業種(EC/小売、SaaS、ヘルスケア、法律、金融)で5,830件の回答を集め、そこから49,391件の引用を抽出した集計であります。

この89%は「測定対象150ブランドのうち89%」という意味です。

発行元のページには、この89%を「正しく説明された96%のうちの89%」と読める書き方も出てくるのですが、冒頭の要約は「測定対象150ブランドの89%」と明記しているため、本記事もこちらの表記で扱っています。

つまり、自社名を入れる確認と、カテゴリ質問で測る確認は、同じAIに対しても別の答えを返す、別の測定ということですね。

「知っている」と「出す」は、なぜズレるのか

自社名入りの質問は、AIが持っている知識を引き出す形です。学習データに自社の情報が載っていれば、たいてい正しく説明されるんですよ。

一方でカテゴリ質問は、AIが回答を組み立てるときに、どのブランドを候補として選ぶかという別の処理を通ります。知識として持っていることと、回答の中で名前を挙げることは、AIの中でも別の段階なんですよね。

だから、自社名を入れた確認で高得点が出ても、カテゴリ質問での言及率が高いとは限らないわけです。

段階が変わると、AIが根拠にする引用元の種類も変わっておりました。

課題認識の質問(「自分の会社に弁護士が必要かどうか、どう判断するか」等)では動画共有サイトや政府・公的機関のサイトが多く、言及率は1回答あたり0.10%。

カテゴリ比較の質問(「米国で最も良い法律事務所は」等)ではディレクトリやランキング、比較メディアが多く、言及率は1.29%。

発行元は「12倍を超える」と表現しています。

同じブランドでも、どの段階の質問で測るかでここまで違う。四半期ごとに数字を比べたいなら、聞く段階を固定しておく必要がありますな。

この数字、そのまま自社に当てはめていいのか

この96%と89%には、発行元の立場と測定の範囲からくる条件が6つ付きます。

  • 相関であって因果ではない。 第三者サイトでの言及数と、AIに言及される確率には相関が出ていますが(被リンク元ドメイン数との相関係数が0.49など)、「言及を増やせばAIに出る」ことを示した実験ではありません
  • 対象は150ブランド・5業種に限られます。 各業種が何ブランドかは発行元のページに書かれていません
  • 測定期間は2026年第2四半期で、開始日・終了日は非公開です。 同じ期間にGoogleのコアアップデート(2026年5月21日〜6月2日)とスパムアップデート(同6月24〜26日)が挟まっており、発行元自身も自然検索の見え方が動いた説明候補としてこれを挙げています
  • ClaudeとMeta AIは、この収集回でウェブ検索が制限され出典が返らなかったそうです。 引用に関する数値は残り6AIだけの集計になります
  • 発行元VictoriousはSEO代理店です。 「自社サイトの外の言及を増やせ」という結論は、発行元自身の事業とも利害が一致します
  • AIが何と語ったか(評価の良し悪し)は測っていません。 正しく説明できたかと、名前が出たかどうかだけです

相関と発行元の立場を割り引いても、「自社名入りの確認は正解しやすく、カテゴリ質問は出にくい」という測定設計の違いそのものは動きません。

手元の確認プロンプトが測っているのは、96%が正解になる側でしょうか。それとも、89%が出てこなかった側でしょうか。

確認プロンプトを2種類に仕分けるところから

自社名入りのプロンプトは「説明の正しさ」を測る道具。カテゴリ質問のほうは「出番」を測る道具です。

この2つは別の指標なので、混ぜて1つの数字として扱わないほうがいいでしょう。

今日やれることは、いま使っている確認プロンプトを並べて、自社名が入っているものに印をつけるところまでです。

自社名入りしか無ければ、買い手が実際に打つ形のカテゴリ質問を最低1本足す。次の四半期からは、その2種類を分けて記録しておく。

へクス子も自分の確認プロンプトを5本並べてみたら、4本が自社名入りでして。カテゴリ質問は、まだ0本ですな。

知っていることと引き出せることが別だという話は、AIは自社ブランドを「知ってる」のに、なぜ正しく答えられないのかに置いてあります。

今日の1本が足したのは、その先の段であります。引き出せたうえで、回答に名前を挙げるかどうかですね。

測る質問を1回入れ替えるだけで、これまで見えていなかった「出ていない場所」が名指しできるようになるでしょうな。

出典

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