「AI経由の流入、増えてますよ」「で、その人たちは買ったんですか」
先月の定例で、流入元の内訳を映したところまではよかったんですよ。
AI経由が前月比で伸びている。ここまでは資料のとおり。
止まったのは、次の一言でしてね。その人たちは買ったんですか、と聞かれたところです。
おそらく、その場では「持ち帰って追います」と答えたはずです。へクス子もそう答えました。
答えのほうは、いまも空欄のまま。
出たか出ないかは測れるのに、出た先で何が起きたかは測っていない。その空白は、どこを見れば埋まるのか。
AIに薦められて来た買い手が、その先で何をすると答えたか。
AIのおすすめは、SNSのインフルエンサーより信頼されているのか
知らないブランドを評価する場面なら、67%がそう答えています。SNSのクリエイターやインフルエンサーの推薦より、AIの推薦のほうを信頼する、という回答ですな。
Contentsquareが米国とフランスの消費者2,000人へ、AIをどう使って何を買っているのかを尋ねた集計が、2026年9月3日に発行元のページで公表されています(R)。
このContentsquareってのは、サイト体験の分析を売っている事業者なんですよ。同じページの末尾には、自社のデモ申し込みの導線が置いてありまして。
「サイトの出来が悪いと売上を落とす」という結論に、商業的な利害を持つ立場ですね。ここは差し引いて読みます。
利害があるからといって、数字が嘘になるわけでもない。どこを強く見せたい調査なのかを頭の隅に置いて読む、というだけの話であります。
AIの推薦は、もう支出のほうまで動かしています
47%が、「どのブランドを買うか」についてAIに考えを変えられたと答えたんだそうな。
実際にお金が動いたほうも57%。AIの推薦が自分の支出に影響した、という回答でしてね。
気持ちの話だけではないわけです。
買い物でのAIの使われ方も、数字で出ておりますよ。
- 回答者全体で、少なくとも一部の場面では検索エンジンの代わりにAIを使う: 36%
- 買い物でAIを使いそうだと答えた30〜44歳の割合: 74%
74%は世代別でいちばん高い値ですが、18〜29歳が70%、45〜60歳が65%と続いていて、どの世代も6割を超えているわけですな。
「うちの客層はまだ」と言い切れる世代は、どこに残っているんでしょうか。
薦められた先で何が起きるかは、まだこちら側で動かせます
サイトが期待に届かなかったらどうするかを尋ねると、「そのまま買う」と答えたのは3%でした。残る97%は、次の動きを考え直すと答えたとのこと。
この97%は「もしそうなったら」への回答であって、実際に離脱した人を数えた値ではありません。
で、考え直すと答えた中身は3つに割れていましてね。
- 調べ続ける: 57%
- 別のブランドへ移る: 23%
- 買うのをやめる: 16%
57%はまだ調べている途中だと答えているので自社の可能性は残っていて、16%に至っては買うのをやめると答えているため、競合の売上にもならない。
競合へ直接持っていかれるのは、残る23%です。ここだけが、自社から相手へ移る数字ですな。
3つとも、「サイトが期待に届かなかったら」という前提つきの答えです。その前提が指しているのは自社ページなので、まだこちらで書き換えられますよ。
食い違いは、AIの説明と自社ページのあいだで起きています
AIの買い物アシスタントが、ブランドのサイトに書いてある内容と違う情報を出した。そう答えたのが21%。
「自信を持って買えるだけの詳しさが無かった」というほうも20%あったらしい。
どちらも、AIが自社について何を語っているかを見にいかないと分からない種類の食い違いなんですよ。自社サイトを何度読み返したところで、AI側の説明までは映らないでしょう。
引用された中身がどのくらい合っているかは、あなたのブランドをAIが引用するとき、ほぼ半分は何か間違ってる問題でも数字を並べています。
AIの説明と自社ページを並べてみたのは、いつが最後でしたかね。
米国とフランスの2,000人が、自己申告で答えた数字です
調査会社はPollfishで、日本の消費者は対象の外です。
公表値は、米国とフランスを合わせて重みを付け直したものだそうな。
自己申告ってのは、本人が「こうすると思う」と答えたもののことでして、実際にその場でどう動いたかを記録したログとは中身が違う。
自社の見込み値として持ち出すには、条件が離れすぎているかと。
- 行動ログではなく、本人が答えたアンケートである
- 対象は米国とフランスで、日本語圏の買い物は測られていない
- 実施期間の記載が、発行元のページに無い
- 97%と内訳の57%・23%・16%は「もしそうなったら」への回答で、実測の離脱率ではない
- 発行元はサイト体験の分析を売る事業者で、結論に利害がある
いつ時点の消費者なのかは、こちらから言いようがない。賞味期限の印字が消えた缶詰くらい、中身は良さそうなのに日付だけが分からないわけです。
推測で埋めるのはやめておきます。
それでも、この集計から持ち運べるものは残ります。AIの推薦が、いまSNSのインフルエンサーより強い信頼の受け皿になっていること。
そして、届いた先の中身が、まだこちら側で動かせる変数だということ。
資料に貼る数字を23%にして、AIの説明と自社ページを突き合わせる
97%と23%は、同じ問いから出た同じ人たちの答えです。
へクス子が資料へ残したのは、23%のほうだけでして。97%は問いの前提ごと書き写さないと、意味が変わってしまうんですからね。
23%のほうは、「AIに薦められた先が期待外れだったら別のブランドへ移る、と答えた割合」と条件を添えておけば、そのまま社内の資料へ持ち運べます。
あとは月に1度、AIが自社について語っている内容と、自社ページの記述を並べてみる。回数はそれで十分です。
21%の食い違いは、その回を持たない限り表に出てこないでしょうな。
来た人の質そのものは、AIからの流入は本当に「濃い」のか?973サイトの実データで確かめてみたで数字を並べてみましたよ。今日のは、その人たちが着いた先の話ですね。
今月のレポートに「AIがうちについて何と言っているか」の欄はありますかね。無ければ、3行だけ書き写して自社ページの横へ置いてみる。
合っているかどうかは、並べた瞬間に分かるもんですなぁ。
出典
- Contentsquare, “97% of Shoppers Rethink an AI-Recommended Purchase When the Website Falls Short, Contentsquare Finds”, 2026-09-03, https://contentsquare.com/press/ai-recommended-purchases/