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広報の媒体リスト、AIの引用は業界専門紙が一般紙より213%多かったという話

POINT この記事のポイント
  • ライセンス契約媒体への引用の69%が5グループに集中
  • 広報の媒体リストへ「AI引用の実測」の列を1本足す

「大手に載るのが一番効くんじゃないですか」

広報の媒体リストって、たいてい部数やPVの大きい順に並んでおりますよね。

へクス子もそう並べておりました。上から一般紙、次にビジネス誌、業界専門紙はいちばん下。

読者の多い順に効くと信じて疑わなかったんですよ。根拠は特にありません。

ところが、AIの回答に並ぶ出典を数えた集計では、リストの下のほうへ置いていた専門紙が上に来ておりました。順番が逆でしてね。

2026年8月20日に公表された集計です。2026年6月の1か月ぶんだけで、引用を1億2,930万件かき集めて数えたものであります。

AIはどの媒体を出典に選んでいるのか

業界専門紙のほうです。一般紙より213%多く引用されておりました(Press RangerとOtterlyAIが2026年8月20日に公表R)。

業界専門紙ってのは、要は「その業界の人しか読まない専門メディア」のことですね。物流なら物流業界紙、食品なら食品業界紙、といったところであります。

数えたのは2社です。Press Rangerはプレスリリース配信とPRソフトを売る事業者で、OtterlyAIはAI可視性のトラッキングを売る事業者。両社の持っているデータを突き合わせております。

集計の規模はこんな具合でした。

  • 2026年6月の引用 1億2,930万件
  • 被引用URL 2,000万超
  • ChatGPTを含む7つのAIプラットフォーム

7つのプラットフォームを横断した1億2,930万件ぶんの分布ですから、どれか1つのAIの癖で出た差ではありませんな。窓のほうは1か月です。

引用の受け皿は、狭いところに集まっている

ライセンス契約のある媒体へ向かった引用のうち、69%を5つのメディアグループが持っていっております。

そして、ニュース全体が占めるのは全引用の7.2%であります。残りはニュース以外のページですね。

  • 5グループで69%……ライセンス契約のある媒体の中がどれだけ寡占されているか
  • ニュースは7.2%……そもそも報道の枠が全体のどれくらいか

この2つは同じ物差しには載りません。片方は契約のある媒体という一部分の中の取り分で、もう片方は報道全体の大きさですからね。

それぞれ、どこの判断へ効く数字なのか。

69%のほうは、大手グループの外にある媒体をどう拾うかという話。7.2%のほうは、報道の露出だけをAI可視性の打ち手に据えると天井が低い、という話ですよ。

行列のうしろに並んだと思ったら、その行列が会場全体の7%しか無かった、みたいなものであります。

この偏りは、こちらの手で動かせるのか

動かせないところがあります。AI事業者と媒体社のライセンス契約です。

ライセンス契約ってのは、AI事業者が媒体社へ対価を払って記事の利用許諾を得る取り決めのこと。OpenAIをはじめとする各社が、報道機関と個別に結んでおります。

OpenAIと契約のある媒体は、ChatGPTでページあたり平均10.2件引用されておりました。契約の無い媒体は6.9件。差にすると48%だそうな。

とはいえ、広報の側から契約の有無を動かすことはできません。へクス子も一度は契約先を調べにいって、手が出せないと分かって戻ってきました。

では、こちらが動かせるのはどこなのか。

露出先の選び方のほうですね。専門紙という枠が空いているという話は、契約の話を切り離しても残ります。

213%は、どんな条件で出てきた数字なのか

引用をどう判定したのかは、発表資料に書かれていないんですよ。限界の記載もありません。数字をそのまま社内の目標値へ書き写すことはできない、ということですね。

  • 発表した2社とも、露出先の選び方でAI引用が変わるという結論に商業的な利害を持っている
  • 契約の一覧(91件・314ドメイン)はPress Rangerのデータベース由来で、公開契約をどこまで拾えたかは検証されていない
  • 「業界専門紙」と「一般紙」の分類基準が公開されていない

観測であって、因果ではないところも押さえておきます。契約のある媒体はもともと規模も権威も大きく、引用されやすい条件を先に持っているからですね。因果まで言うには実験が要ります。

対象は2026年6月の1か月ぶんです。213%という数字は米国の16業種を数えた集計から出ており、そのうち15業種で専門紙が報道の引用の過半を取っておりました。

日本語圏の媒体での挙動は測られておりません。国内の媒体リストへ当てるなら、この分布はあくまで仮説の置き場所ですよ。

それでも、リストの並べ替えを検討する理由にはなります。部数の順に並べることを裏づけている実測のほうは、いまのところ見当たりませんからね。

媒体リストに「AI引用」の列を1本足す

部数の列は、消さなくて構いません。

いま使っている媒体リストへ、その媒体がAIにどれだけ引かれているかの列を1本足します。並べ替えの軸が1つ増えるだけですから、リストを作り直す手間はかからないでしょう。

で、その列が埋まったら、業界専門紙の優先度を上げてみます。上の集計が正しければ、同じ広報の工数で引かれる回数が変わってくるはずですよ。

効果の確かめ方は、媒体の側ではなく自社名の被引用で数えます。専門紙に載ったあとで、AIの回答に自社名が何回出るようになったか。そこが動かなければ、並べ替えは効いていないということですね。

第三者のメディアへ寄せる話そのものは、「AI向けの広告枠って買えないの?」問題。引用の84%は第三者の記事でしたのほうに数字を置いてあります。今回はその「どの第三者へ寄せるか」を1段細かくしたものですね。

そんなわけで、まずは列を1本ですな。

出典

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