「で、どの質問文で測るんですか」で会議が止まる
AIに自社が出るか調べよう、という話になりますよね。そこで最初に決めるのが、AIへ投げる質問文であります。
うちはここで毎回止まりました。「おすすめの〇〇は?」なのか、「〇〇 比較」なのか、決め方の根拠が誰の手元にも無いんですよ。
へクス子も、その質問文の一覧を作りかけたまま2週間ほど寝かせておりました。作りかけのまま止まっている会社、けっこうあるでしょうな。
なんですが、そもそも前提が1つずれておりましてね。
AIは、こちらが決めた質問文のまま検索していないんです。へクス子が2週間寝かせていたあの一覧は、前提のところから作り直しが要りそうです。
AIは質問した言葉のまま検索しているのか
検索していません。
ChatGPTが内部で発行した検索語は、元の質問文と単語が13%しか重なっておらず、同じ質問を繰り返しても91%は別の検索語になっていました(Profound、10,000プロンプト×14日間、2026年4月30日公開)R。
Googleも、AI Modeは質問をサブトピックへ分解して多数の検索を同時に発行する「query fan-out」の仕組みだと公式に説明しています R。
fanout(ファンアウト)ってのは、要は「1つの質問を複数の検索へ広げること」ですね。
ただしGoogleは本数を公表しておりません。通常のAI Modeは「多数」、Deep Searchは「数百件」という言い方にとどまります。
数字のほうは、3エンジンを実測したProfoundの調査から拾っていきますよ。
3つのエンジンで、質問文の残り方がまるで違う
Perplexityは元の言い回しに忠実でして、単語の重なりが88%、同じ質問を繰り返したときのユニーク率は14%でした。
Copilotはその中間で、50%と47%。ChatGPTの13%・91%と並べると、同じ「AIで測る」という言葉で括るのは無理があるわけです。
一方で、1回の実行あたりに発行される検索は3エンジンとも約1.4〜2本で、ここに差はありませんでした。
打つ本数は同じで、中身の振れ幅だけが違う。同じ枚数のメモを取っているのに、一字一句書き写す人と毎回言い換える人が混ざっている、みたいなものでありますね。
落ちにくいのはブランド名と地域、書き換えられるのは条件
同じ調査は、質問文の要素ごとに残りやすさも整理しています。
- ブランド名は、3エンジンともおおむね保持される
- 地域は3エンジンともほぼ必ず保持される
- 価格や絞り込みの条件は、ChatGPTでは読み替えや拡張が入り、PerplexityとCopilotではそのまま落とされることが多い
指名で聞かれたときに自社が出るかどうかは、素直に測れる部分ということですね。
で、「1万円以下の」「初心者向けの」といった条件つきの強みは、条件が落ちた検索の結果から答えが組み立てられる可能性があるんですよ。
その条件で勝っていても、答えに反映されないことがあるわけっすね。
この数字を社内資料へ持ち込むときの注記
対象エンジンはChatGPT・Perplexity・Copilotの3つで、GeminiとGoogle AI Modeは含まれておりません。前半で引いたGoogleの公式説明は仕組みの裏づけであって、この数字の出所ではないんですよ。
もう一つ、10,000プロンプトの内訳(言語・業種・意図の分布)は伏せられたままです。日本語のプロンプトが含まれるかどうかも明示されていないので、日本語で測る読者がこの数字をそのまま自社へ当てはめるのは早いでしょう。
観測期間も14日間と短く、fanoutクエリをどう観測したかの手法も明かされていません。
そして調査主体のProfoundは、AI可視性の計測サービスを売っている事業者です。「想定した質問文だけでは足りない」という結論は、同社の商材と噛み合う向きにあるわけです。
「1.4〜2本」のような値も、各エンジンの実装が変われば簡単に動きますからね。
へクス子は、この6点を注記へ先に書いてから、資料に数字を貼るようにしました。
ブランド名が出るかを、質問文を替えて繰り返し数える
実務で替えるのは、測り方の2箇所です。
1つ目は、指名(ブランド名)と地域を軸にした質問文を複数用意して、繰り返し投げて出現率で見ること。ChatGPTは同じ質問でも91%は別の検索語を打つので、1本の質問文を1回投げた結果を「出ている / 出ていない」の判定に使えません。
2つ目は、条件つきの強みを別枠で測ることですね。価格や対象者の限定は落とされる前提で、条件なしの質問文と分けて記録しておくと、あとで読み違えずに済みます。
最初の定点観測をどの質問文から始めるかで迷ったら、「おすすめの〇〇」型が入口として扱いやすいですよ。この型は形が安定しやすく、元の質問の形が保たれた割合はPerplexity 65%・Copilot 52%・ChatGPT 39%でした。
なお、人が投げる質問文をどう推定するかはAIの「推定プロンプト」、実際の質問とズレてても使えるの?と「プロンプト検索ボリューム」、そのまま指標にすると危ういぞという話で扱っています。
聞き方と答えの対応のほうは「おすすめ教えて」、AIは聞き方しだいで答えが変わるの?で触れました。
今日の話はその1段下、選んだ質問文をAIがどう書き換えて検索するかのほうであります。
そんなわけで、まずは質問文を3本ほど並べるところから始めてみてくださいな。