「AIの回答に出たいなら、記事の本数を増やすしかない」——コンテンツの相談をしていると、この意見が必ず出てくるじゃないですか。
去年の秋に同じ相談を受けて、安請け合いしたきり、本数は結局倍にならずじまいでした。人も予算も、去年と同じまま据え置き。
へクス子も、増やせない前提で何ができるかを考える場面には、しょっちゅう出くわします。
増やす話のつもりで開いた調査から、へクス子が持ち帰ったのは、最後に手を入れた日のほうでした。
AIに引用されているページは、どのくらい新しいのか
引用されたページ7,683件の最終更新日を調べたところ、75%が1年以内に更新されていました。
数えたのはSeer Interactiveで、ChatGPT・Gemini・Perplexityから2026年3〜6月に集めた47,097件の引用がもとになっています。
そして、その1年以内に更新されていたページの3割近くは、新しく公開された記事ではなく、古い記事を作り直したものでした。
調査をやったのは、アメリカのデジタルマーケティング会社Seer Interactiveです(R)。
ペット用品小売・バケーションレンタル・小売電力・商業銀行という4ブランドについて、ブランド名を含まない質問への回答を集めています。
そこで3回以上引用されたページだけを対象に、ページに埋め込まれた更新日情報・サイトマップ・サーバーの応答ヘッダから、最終更新日を拾い上げております。
最終更新日ってのは、要は「そのページを最後に触ったのはいつか」という記録ですね。
ってのは、サイト内のページ一覧を検索エンジン向けに置いてあるファイルのことです。
ちなみにこの会社、コンテンツ更新の受託も売っている立場でありまして。
コンテンツ更新を売っている会社が「更新は効きます」と言う構図は、パン屋さんが朝食にはパンがいいですよと勧めてくるようなものです。数字そのものは一次データですが、結論の方向には多少の色が付く、と頭の隅に置くのがフェアでしょう。
「新しい」の3割は、新規公開ではなく古い記事の作り直しだった
で、この調査でいちばん実務に効くのがここでして。
著者は、1年以内に更新されていたページのうち「初回公開は2年以上前」だったものを、別枠で数えています。
この作り直し組が占める割合は、Geminiで27%、ChatGPTで28%、Perplexityで28%。業種をまたいでも26%を下回りませんでした。
つまり、AIが拾っている「新しいページ」の4本に1本以上は、新規記事ではなく維持された古い記事なんですね。
別の角度からも同じ形が出ておりまして。公開日と最終更新日の両方が取れた4,124ページでの比較です。
- 最終更新日で見ると、1年以内は72%
- 初回公開日で見ると、1年以内は42%
同じページ群を、どっちの日付で見るかだけで30ポイント動くわけっすね。
この差が、「古い記事を作り直して新しい側に入った」ぶんということになりますね。
著者の言い方を借りると、LLMが報いている鮮度は、新規公開ではなく更新によって作られているんだそうな。
LLM(大規模言語モデル)ってのは、要はChatGPTやGeminiの中身にあたる仕組みのことです。
つまり、手持ちのページの更新日を動かすことは、新しい記事を出すのと同じ側に入る経路になっているわけです。
制作の本数を増やせない側にとっては、こちらのほうがよほど現実的な入口ですね。
どこから手を付けるか。3年動いていないページが最初の候補
更新日の分布は、こんな裾の形になっていました。
- 1年以内に更新: 75%
- 2年以内: 88%
- 3年以内: 93%
1年以内で4分の3、3年で9割超え。ずいぶん急な裾ですなぁ。
裏を返すと、3年より古いまま止まっているページは、引用されている側の分布からほぼ外れているということになります。
だから優先順位はシンプルでして、まず3年以上動いていないページから中身を直す。
自社のサイトマップを開いて、主要ページを最終更新日の古い順に並べる。それだけで、着手候補のリストは今日中に出せますよ。
もう一段、鮮度の効き方はAIによって幅があります。
1年以内に更新されたページからの引用比率は、Geminiが78%、ChatGPTが73%、Perplexityが65%でした。
Perplexityは13ポイントぶん、古いページにも余地を残しているわけですね。
鮮度は全AI一律のスイッチではなく、「分布の中に戻るための条件のひとつ」という位置づけになりましょう。
この数字の読み方。効くのは中身を触った更新のほう
ここで留保を置いておきます。
まず、この調査が示したのは相関でして、「更新すれば引用される」という因果の検証ではありません。
ランダムに更新したページと、更新しなかったページを比べた対照群がない。なので、更新そのものの効果量までは分かりません。
最終更新日が取れたのは全体の約2/3で、残り1/3の性質は不明であります。
データセットには小売電力の比率が高く、起点も4ブランドだけ。日本語での実測でもありません。
なお、著者は限界を整理した節を書いていないので、ここまでの留保はへクス子の側の見立てになります。
そのうえで、いちばん避けたいのは、中身を触らずに日付表示だけ書き換える運用ですね。
この調査が見ているのは、本文を更新した結果として更新日が動いたページの集合です。
表示だけ新しくしても、AIに読まれる中身は去年のまま、ということになりますからね。
新記事の計画より先に、主要ページの最終更新日を一覧にする
やることは2つに絞れます。
1つめ。来期のコンテンツカレンダーを埋める前に、AIに出てほしいテーマの中心ページを10本ほど選び、最終更新日を一覧にする。
そして3年以上動いていないものから、中身を直していく。
2つめ。自社ページの更新は「自分で動かせるほう」を確実に押さえる作業だ、と位置づけておく。
というのも、この調査は、引用されたコンテンツのうちブランド自身が持っているページは2%程度だとも書いているんですよ。
残りは第三者のページなので、自社の更新だけで引用枠が埋まるわけではない。
だからこそ、自分で動かせる側は確実に動かしたうえで、第三者側は別の打ち手として持っておく。この順番が現実的だと思います。
ちなみに、AIの引用が「新しいページ」に偏ること自体は、同じSeerが2025年に出した調査でも見えていました。
その回のことは、「いい記事は資産」のはずが、AIに引用されるのは65%が”この1年もの”だったで書いております。
今回の調査は、そこに「新規公開でなく更新でも同じ側に入れる」という抜け道を足した形ですね。
コンテンツ運用の予定表を書き足す前に、まずは棚卸しから。そんなわけで、今日はこのへんで。