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同じ検索結果なのに、AI要約に名前が載ったブランドはクリックを2.2倍取っていた

POINT この記事のポイント
  • 同じ検索結果でも引用の有無でクリックが2.2倍
  • 53ブランド547万クエリで見えた「配分の変化」

「AI要約が出るようになってから、検索からの流入が落ちましたね」。月次の数字を眺める会議で、こんな報告をした方も多いんじゃないですかね。

順位は落ちていない。むしろ上がっている。それでもクリックは減っている。

こうなると、検索そのものを諦める空気が、じわじわ社内に広がってくるわけです。

へクス子も、これは全員が等しく濡れる類の話だと思っておりました。台風が来たら、傘の良し悪しはあまり関係ないようなもんで。

なんですが、53ブランド・547万クエリの実測を開けてみたら、落ち方が全員同じではなかったようでして。

同じ検索結果の中で、クリックが2.2倍に割れていた、という話です。今回はそのへんを掘り下げてみたいと思います。

AI要約に引用されると、クリックはどれくらい増えるのか

同じ検索結果の中で、AI要約に引用されたブランドは、引用されなかったブランドの約2.2倍のクリックを得ていました。表示回数あたりで比べて +120% の差であります。

見ていくのは、米国のデジタルマーケティング代理店 Seer Interactive が2026年4月24日に公開した実測ですね(R)。

ってのは、Google の検索結果の一番上に出てくる、AIが書いた要約文のことです。

英語では AI Overviews、略して AIO と呼ばれておりますね。

対象は同社のクライアント53ブランド、547万クエリ。オーガニック検索の表示回数は24.3億回、有料広告は2億9,690万回分が入っています。

期間は2025年1月から2026年2月までの実測で、2026年3月分だけは推計であります。

比較の設計は、次の3つの状態を並べるというもの。

  • AI要約が出ないクエリ
  • AI要約が出て、そこに自社が引用されているクエリ
  • AI要約が出て、そこに自社が引用されていないクエリ

で、結果がどうだったかと言いますと。オーガニック検索の表示100万回あたりのクリック数が、こう分かれました。

  • AI要約なし: 約33,500クリック
  • AI要約あり・引用されている: 約20,743クリック
  • AI要約あり・引用されていない: 約9,445クリック

引用されている側は、されていない側の約2.2倍。同じクエリ、同じ検索結果の中での差ということですね。

勝敗を分けていたのは、順位ではなく引用の有無だった

ここで、下振れの数字も正確に置いておきます。

引用されていても、AI要約が出ないクエリと比べれば38%少ない。総量が減っていること自体は、動かしようのない事実であります。

ただ、AI要約が出るかどうかは、ブランド側で選べません。それを決めているのは Google です。

選べるのは、出たときに自社の名前がそこに入っているかどうかだけなんですよ。

そして、その選べるほうの差が2.2倍だった。ここが今回のデータの核心でしょうな。

「AI要約でクリックが減った」という話は、これまで総量の話として語られてきました(検索1位でもクリックされなくなった話)。

今回のデータが足しているのは、減った先の配分のほうですね。

減ったパイを、引用されたブランドが多めに取り、されなかったブランドが少なめに取る。そういう分かれ方をしていたわけです。

順位よりも引用が効くという方向は、11位以下にこそチャンスがあるという話とも重なってまいりました。

引用の有無は、その下の広告のクリック率にも出ていた

同じ調査には、有料広告のクリック率も載っております。2025年の通年平均で、こうなりました。

  • AI要約なし: 19.75%
  • AI要約あり・引用されている: 15.74%
  • AI要約あり・引用されていない: 11.19%

オーガニック検索で引用されているかどうかが、その下に出る広告のクリック率にまで差を作っていたわけですね。

もちろんこれは同時に観測された差であって、因果が証明されたわけではありません。

ただ、読み方としては素直なものが1つあります。要約の中で名前を見たブランドは、その下の広告もクリックされやすい、という順番ですね。

広告予算の効率が落ちてきた、という相談は最近よく聞きます。

その理由の一部が、広告の外側にあるかもしれない。ここは覚えておいて損はないでしょう。

この数字を持ち帰るときに、外せない留保が3つある

信頼度の見積もりも一緒に持ち帰りたいので、留保を並べておきます。

  • 発行元の Seer Interactive は検索・AI検索まわりの支援を売る代理店で、「AI可視性に投資すべき」という結論に商業上の利害がある
  • 母集団は同社のクライアント53社であり、業種・規模に偏りが残る
  • 米国中心のデータで、日本市場の実測ではない

もう1つ、時系列も見ておくところですね。

引用されているブランドのオーガニック検索のクリック率は、2025年第1四半期の3.04%から、第4四半期には0.95%まで落ちています。

そのあと2026年2月には2.36%へ戻りました。

AI要約の中でのクリックの動き方は、まだ固まりきっていないということです。単年の数字で結論を固定しないほうがよさそうですね。

順位表の隣に「引用されている割合」の欄を足す

そんなわけで、今回の話をまとめてまいります。

AI要約が出るようになって、検索からのクリックは全体として減りました。ここは受け入れるしかありません。

動かせるのは、減ったあとの配分のほうです。同じ検索結果の中で、引用されたブランドとされなかったブランドの間に2.2倍の差がついていました。

順位を見る習慣は、この差を教えてくれません。順位表には「AI要約に名前が入っているか」という欄が無いからです。

だから、やることは2つに絞れます。

まず、自社の主要なクエリでAI要約が実際に出ているかを確認すること。出ていないクエリなら、この話は当面のところ関係ありません。

そのうえで、出ているクエリのうち自社が引用されている割合を、定点で数えること。1回の観測では上下が読めないので、月に1度でも同じ質問を繰り返すのが肝であります。

順位が上がったのに流入が減った、という報告の理由も、この欄さえあれば説明がつくようになりますね。

まずは主要なクエリを5つ選んで、実際に検索して数えるところからやってみてくださいな。


出典

  • Seer Interactive, “AIO Impact on Google CTR: 2026 Update”, 2026年4月24日, seerinteractive.com(同社クライアント53ブランド・547万クエリ・オーガニック24.3億インプレッション・有料2億9,690万インプレッションを対象に、2025年1月〜2026年2月の実測(2026年3月は推計)から、同一クエリ上の「AIO なし」「AIO あり・引用あり」「AIO あり・引用なし」の3状態を比較。オーガニック100万インプレッションあたりのクリック数は、AIO なし約33,500/引用あり約20,743/引用なし約9,445で、引用ありは引用なしに対し+120%、AIO なしに対しては-38%。有料広告のクリック率は2025年通年平均で AIO なし19.75%/引用あり15.74%/引用なし11.19%。引用されているブランドのオーガニックCTRは2025年Q1が3.04%、2025年Q4が0.95%、2026年2月が2.36%。限界: 発行元は検索・AI検索まわりのマーケティング支援を売る代理店であり本結論に商業的利害を持つ。母集団は自社クライアント53社に限られ業種・規模に偏りがある可能性があり、米国中心のデータで日本市場の実測ではない)
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