もどる HexScope Lens

MAツールのAI可視性は、実際の市場シェアとは別物だった

POINT この記事のポイント
  • AIの被引用シェアは市場シェアの順位とは一致しなかった
  • AI可視性は市場地位と別に測れる、伸ばす余地の見つけ方

新しく「見込み客を育てる仕組みを入れよう」という話になると、まず持ち上がるのがMAツール選びですよね。

MAツールってのは、要は「見込み客への連絡やスコアリングを自動でやってくれる仕組み」のこと。メール配信からサイトの行動履歴の把握まで、まとめて面倒を見てくれる道具です。

で、その候補出しを、最近はまずAIに聞いて済ませる人が増えてきました。へクス子も、ツールの当たりをつける最初の一歩はAI任せになりつつあります。

なんですが、ここで少し気になることがありまして。AIが挙げてくる名前は、実際に国内でよく使われているツールと、ちゃんと一致しているんでしょうか。

今回はツール比較の実測シリーズとして、国内シェア上位のMA5社をAIに聞いて数えてみました。

国内シェア上位の5社に、同じ5問を聞いてみた

対象は、公開されている国内シェアの上位から素直に選んだ5社です。BowNow、HubSpot、Account Engagement(旧Pardot)、Adobe Marketo Engage、List Finderが並びます。

質問は「おすすめはどれ?」「BtoBのリード育成なら?」といった素直なものを5つ。同じ質問を4つのAI(ChatGPT・Gemini・Perplexity・Claude)に投げました。

数えた指標は、言及率(何回の回答に名前が出たか)、被引用シェア、平均順位(回答の中で何番目に出たか)の3つです。

被引用シェアってのは、AIが挙げた全ツールの言及のうち、その1社が占める割合のこと。AIの中での「声の大きさ」を示す数字ですね。

なおGeminiからは今回、対象5社の言及を1つも抽出できず、有効回答は20回中13件でした。下がその実測レポートで、数字は測定値そのまま、加工はしておりません。

AI CITATION REPORT

日本市場のマーケティングオートメーション(MA)ツール

測定日
対象プラットフォーム
ChatGPT / Perplexity / Claude
質問数
5
解析レスポンス数
13

4つのAI(ChatGPT / Gemini / Perplexity / Claude)に各5問・計20回質問。うちブランド言及を抽出できた有効回答は13件。Geminiの回答からは対象5社の言及を抽出できなかったため、本レポートの比較は実質的にChatGPT・Perplexity・Claudeの3AIによるもの。被引用シェア(SOV)はAIが挙げた全ツールの言及を分母にするため、この5社の合計は約82.7%で、残りは対象外の他ツールへの言及。実測日 2026-07-24(UTC)。

日本市場のマーケティングオートメーション(MA)ツール:ブランド別 AI 引用指標(SOV 降順)
# ブランド MF(言及率 %) SOV(被引用シェア %) AvgRank(平均順位) Top1(%) Sentiment
1 HubSpot 100.0 25.3 2.6 61.5 ポジティブ
2 Marketo 100.0 25.3 3.4 23.1 ポジティブ
3 Account Engagement 84.6 14.7 3.1 0.0 ポジティブ
4 List Finder 53.8 9.3 5.3 0.0 ポジティブ
5 BowNow 46.2 8.0 3.5 15.4 ポジティブ
プラットフォーム別内訳:各セルは MF(言及率 %) / AvgRank(平均順位)
ブランド ChatGPTPerplexityClaude
HubSpot 100.0% / 1.5 100.0% / 1.8 100.0% / 3.3
Marketo 100.0% / 1.5 100.0% / 3.3 100.0% / 4.2
Account Engagement 100.0% / 3.0 75.0% / 3.0 80.0% / 3.3
List Finder 0.0% / — 75.0% / 4.3 80.0% / 6.0
BowNow 0.0% / — 100.0% / 2.3 40.0% / 6.0
測定に使用した質問(5件)
  1. マーケティングオートメーション(MA)ツールでおすすめはどれですか。代表的なサービスを挙げてください。
  2. BtoB企業がリード獲得や見込み客の育成に使うMAツールなら、どのサービスが良いですか。
  3. 主要なMAツールを機能や使いやすさで比較すると、どのサービスの評価が高いですか。
  4. 日本の中小企業がマーケティングオートメーションを始めるなら、おすすめのMAツールを教えてください。
  5. 法人向けのマーケティングオートメーションツールにはどんな主要サービスがありますか。代表的なものを挙げてください。

よく呼ばれる2社でも、先頭に立つ回数は違っていた

まず被引用シェアが同率で並んだのは、HubSpotとAdobe Marketo Engageでした。どちらも25.3%で、言及率は2社とも100%。有効回答のすべてに名前が出ています。

ただ、「一番手」の取り方は別物でした。一番手ってのは、回答のいちばん最初に名前が挙がる割合のことです。

HubSpotはこの割合が61.5%。Claudeに至っては80%の回答で最初に名前が出て、まさに主役級でありました。

一方のMarketoは、同じトップ2でも一番手は23.1%どまり。よく名前は挙がるけれど、口火を切る役はHubSpotに譲る、という位置取りですね。

同じ被引用シェアでも、先頭で呼ばれるか、リストの中ほどで呼ばれるか。合計の数字だけ見ていたら、この差は消えてしまうわけです。

同じツールでも、AIによって出たり消えたりする

今回いちばん面白かったのは、同じツールの出方がAIごとに大きく変わることでした。たとえば国内シェアで上位のBowNowは、AI全体の被引用シェアでは8.0%です。

ただ、内訳を見ると景色が変わります。ChatGPTではBowNowの言及率は0%。一方でPerplexityでは言及率100%・一番手50%・平均2.25番目と、むしろ主役でした。

同じツールが、あるAIでは出てこず、別のAIでは真っ先に呼ばれる。出てくる場所が、AIによってまるごと違うんですよ。

へクス子も、この振れ幅は数えてみるまで想像できませんでした。国産のList Finderも似た動きで、ChatGPTでは0%、PerplexityとClaudeでだけ顔を出します。

市場での知名度がそのままAIでの露出になるとは限らない。どのAIに名前が出るかは、測ってみて初めて見える景色ですなぁ。

ズレは、そのまま「どこを伸ばすか」の地図になる

念のため添えておくと、これは「BowNowがHubSpotより劣る」という話ではありません。5問×各1回の測定ですし、AIの回答は学習データや参照情報の更新でも変わりますからね。

ポイントは、実際の市場シェアの順位と、AIが名前を挙げる順位が、はっきりズレていたという事実のほうです。

市場で強いことと、AIの中で名前が出やすいことは、どうやら別々に決まる。だから体感の知名度だけでは、AIでの見え方は読めないわけですね。

自社ブランドに置き換えると、実際の実力どおりにAIから名前を挙げてもらえているとは限らない、ということになります。

名前を出せているAIと、そうでないAIを分けて測る

今回の測定で分かったのは、被引用シェア・一番手・平均順位がそれぞれ別に動き、しかも実際の市場シェアとも一致しない、ということでした。

そこでおすすめしたいのが、自社と競合数社について同じ質問を複数のAIに投げて、「名前が出るAI」と「まだ出ていないAI」を1枚に並べる測り方です。

すでに真っ先に名前を呼ばれているAIがあれば、そこは強い場所。まだ名前が出ていないAIがあれば、そのAIが参照しそうな情報を整えるのが、次のいちばん効く一手になりましょう。

市場での強さは、AIの中では自動では効いてくれません。だからこそ、どのAIでまだ名前を出せていないかを数えて見つけることが、可視性を伸ばす出発点になるんです。

測定方法: 「日本市場のマーケティングオートメーション(MA)ツール」を対象に、国内シェア上位の5社(BowNow・HubSpot・Account Engagement・Marketo・List Finder)と5つの質問を設定し、ChatGPT・Gemini・Perplexity・Claudeへ各1回ずつ計20回質問(2026-07-24 実測・UTC)。各回答から対象ブランドの言及・順位を抽出し、言及率/被引用シェア/平均順位を算出。うち有効回答は13件で、Geminiからは対象5社の言及を抽出できなかったため、比較は実質的にChatGPT・Perplexity・Claudeの3AIによるもの。被引用シェアはAIが挙げた全ツールを分母にするため5社の合計は約82.7%で、残りは対象外の他ツールへの言及。名指しの優劣を断ずるものではなく、AI可視性の測定例として中立に提示するものです。

この記事をシェア
Bluesky X
記事一覧にもどる