社内で「ビジネスチャット、そろそろ変えようか」という話が出ると、まず名前が挙がるのは決まった数社ですよね。
最近はその最初の一覧を、AIに聞いて作る人も増えてきました。へクス子の周りでも「とりあえずChatGPTに聞いた」という声をよく耳にします。
なんですが、ここでひとつ気になることがありまして。AIが最初に出す名前は、聞くAIによって変わるんじゃないか、という点です。
そこで日本でよく使われる5社を選び、4つのAIに同じ質問を投げて、名前の出方を実際に数えてみました。
5社×4つのAIに、同じ5問を投げた
対象はSlack、Microsoft Teams、Chatwork、Google Chat、LINE WORKSの5社です。
そこへ「おすすめは?」「社内の情報共有なら?」といった素直な質問を5つ用意しました。同じ質問を4つのAIに投げています。
数えたのは3つの指標です。言及率(何回の回答に名前が出たか)、被引用シェア(AIが挙げた全サービスの言及に占める割合)、平均順位(回答の中で何番目に出たか)。
下が、その実測レポートです。数字はすべて今回の測定値そのままで、加工はしていません。
AI CITATION REPORT
日本市場のビジネスチャット・コラボレーションツール
4つのAI(ChatGPT / Gemini / Perplexity / Claude)に各5問・計20回質問。うちブランド言及を抽出できた有効回答は15件。Geminiの回答からは対象5社の言及を抽出できなかったため、本レポートの比較は実質的にChatGPT・Perplexity・Claudeの3AIによるもの。被引用シェア(SOV)はAIが挙げた全サービスの言及を分母にするため、この5社の合計は約66%で、残りはZoomやNotionなど他サービスへの言及。実測日 2026-07-18(UTC)。
| # | ブランド | MF(言及率 %) | SOV(被引用シェア %) | AvgRank(平均順位) | Top1(%) | Sentiment |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 1 | Slack | 100.0 | 15.2 | 1.4 | 66.7 | ポジティブ |
| 2 | Microsoft Teams | 100.0 | 15.2 | 2.0 | 20.0 | ポジティブ |
| 3 | Chatwork | 80.0 | 12.1 | 3.3 | 13.3 | ポジティブ |
| 4 | Google Chat | 80.0 | 12.1 | 3.7 | 0.0 | ポジティブ |
| 5 | LINE WORKS | 73.3 | 11.1 | 4.7 | 0.0 | ポジティブ |
※ グラフを表示できない場合は、上のランキング表が同じ数値のテキスト代替になります。
| ブランド | ChatGPT | Perplexity | Claude |
|---|---|---|---|
| Slack | 100.0% / 1.0 | 100.0% / 1.2 | 100.0% / 2.0 |
| Microsoft Teams | 100.0% / 2.0 | 100.0% / 2.6 | 100.0% / 1.4 |
| Chatwork | 40.0% / 3.0 | 100.0% / 3.6 | 100.0% / 3.2 |
| Google Chat | 80.0% / 3.8 | 80.0% / 4.0 | 80.0% / 3.3 |
| LINE WORKS | 40.0% / 5.0 | 100.0% / 4.6 | 80.0% / 4.8 |
測定に使用した質問(5件)
- 日本で使えるビジネスチャット・コラボレーションツールでおすすめはどれですか。代表的なサービスを挙げてください。
- 社内のチームコミュニケーションや情報共有に使うビジネスチャットなら、どのサービスが良いですか。
- 主要なビジネスチャットツールを機能や使いやすさで比較すると、どのサービスの評価が高いですか。
- 日本の中小企業が社内コミュニケーション用に導入するビジネスチャットツールとして、おすすめを教えてください。
- 法人向けのビジネスチャット・コラボレーションツールにはどんな主要サービスがありますか。代表的なものを挙げてください。
首位は横並び、でも「1番目に呼ばれる」かは違った
まず目を引くのが、SlackとMicrosoft Teamsの並びです。どちらも言及率100%、被引用シェアも15.2%ずつで、きれいに同点でした。
ところが、中身をのぞくと差が出ます。回答のいちばん最初に名前が挙がった割合、いわゆる「Top1」を見ると、Slackが66.7%なのに対しTeamsは20%でした。
平均順位もSlackが1.4番目、Teamsが2.0番目。同じ「よく出る2社」でも、Slackのほうが先に呼ばれやすいわけですね。
言及率という1つの数字だけ見ていたら、この差は見えないままだったはずです。
国産ツールは「どのAIで聞くか」で見え方が反転した
もっと面白いのは、ChatworkとLINE WORKSという国産勢の出方です。
Chatworkは、ChatGPTでの言及率が40%にとどまりました。ところがPerplexityとClaudeでは、どちらも100%です。
LINE WORKSも似ています。ChatGPTでは40%ですが、Perplexityでは100%まで上がりました。
同じ国産ツールでも、ChatGPTでは影が薄く、PerplexityやClaudeでは主役級。「AIでの見え方」を1つの数字で語れない理由が、ここにあります。
ちなみにTeamsは逆で、最初に名前を出す割合がClaudeだけ60%と高く、ChatGPTとPerplexityでは0%でした。誰が一番手かも、AIで入れ替わるんですよ。
測れれば、薄いAIは「伸ばす場所」に変わる
ここが今日いちばん伝えたいところです。このばらつきは、弱点であると同時に地図になります。
ChatworkがChatGPTで薄いと分かれば、ChatGPTが参照しそうな情報を整える、という打ち手が立ちます。
現在地が分からないまま「AI対策」と言っても、手は空を切るだけです。どのAIで、どんな聞かれ方だと出ないのか。そこが分かって初めて、打ち手は具体になります。
検索順位を追うのと同じで、まず測る。AIでの見え方は、測れて、薄いところを名指しできて、だから伸ばせるんです。
自社の名前は「AI1つ」で判断しない
今回はっきりしたのは、同じカテゴリでも最初に呼ばれるブランドがAIごとに割れる、ということでした。
だから自社サービスのAIでの見え方を、ChatGPT1つだけで判断するのは危ういんですよね。そこで薄くても、別のAIでは主役かもしれない。逆もあります。
まずやることは1つです。自社と競合を数社選び、同じ質問を複数のAIに投げて、名前の出方をAIごとに並べてみる。今回のような比較表を作れば、どのAIが弱点かは一目で見えます。
その弱点こそ、次の一手を置く場所です。順位表とは別の、前に進むための地図が手に入りますよ。
測定方法: 「日本市場のビジネスチャット・コラボレーションツール」を対象に、対象5社(Slack・Microsoft Teams・Chatwork・Google Chat・LINE WORKS)と5つの質問を設定し、ChatGPT・Gemini・Perplexity・Claudeへ各1回ずつ計20回質問(2026-07-18 実測)。各回答から対象ブランドの言及・順位を抽出し、言及率/被引用シェア/平均順位を算出。うち有効回答は15件で、Geminiからは対象5社の言及を抽出できなかったため、比較は実質的に3AIによるもの。被引用シェアはAIが挙げた全サービスを分母にするため5社の合計は約66%で、残りは他サービスへの言及。名指しの優劣を断ずるものではなく、AI可視性の測定例として中立に提示するものです。