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「うちは検索で勝てないからAIでも無理」?むしろ11位以下にこそチャンスあり

POINT この記事のポイント
  • AIの引用元、6割超が検索11位以下から
  • 順位とは別に、AIの引用を測る習慣が要る

「うちは検索でなかなか上位を取れないから、ChatGPTやAI Overviewsの時代になったら、もっと埋もれちゃうんじゃないか」。最近、マーケの現場でこういう不安をよく聞くようになりました。検索で勝てている大手だけがAIにも引用されて、後発はますます差をつけられる、という見立てですね。

へクス子の周りでも「SEOで負けてる以上、AI対策なんてやっても無駄でしょ」とこぼす方がいて、気持ちはすごくわかるんですよ。検索順位という分かりやすいモノサシで負けていると、その先の新しい土俵でもどうせ負けるんだろう、と思ってしまうじゃないですか。

ところが、AIが実際にどのページを引用しているのかを調べたデータを見てみると、この悲観はちょっと早とちりかもしれないんですよね。今回はそのあたりを掘り下げてみたいと思います。

「検索1位なのにAIに名前が出てこない」のはなぜか

まず押さえておきたいのが、検索で上位を取ることと、AIに引用されることは、もう同じゲームではなくなってきている、という点であります。

「AI可視性」ってのは、要は「AIの回答のなかで自社がどれだけ引用・言及されるか」のことなんですが、これが従来の検索順位とどんどん連動しなくなっているわけです。検索で1位のページが、AIの回答ではまったく触れられない。逆に、検索では下のほうにいたページが、しれっとAIに引用されている。そういうズレが、あちこちで観測され始めているんですね。

つまり、検索順位という今までのモノサシは、AI時代の露出をそのまま映してはくれない、ということになりましょう。

AIの引用元、6割超は検索11位以下から拾われている

では、実際どのくらいズレているのか。ここで言う「AI Overviews」ってのは、Google検索の結果ページの上に出てくる、生成AIがまとめてくれる回答のことなんですが、この回答がどのページを引用しているかを、複数の分析会社がそれぞれのデータで測っております。

  • Ahrefsの分析では、AI Overviewsの引用のうち、**検索トップ10由来は約38%**にとどまった(残りは11位以下から拾われている)
  • 5W Researchは、検索上位ページとAI引用ソースの重なりが、70%から20%未満まで縮小したと報告
  • BrightEdgeの16か月追跡では、引用と順位の重なりは32%から54%へ上昇したものの、その伸びの大半は21〜100位のページで、**トップ10由来は約16.7%**にとどまった

数字の幅は大きいんですが、どの分析も「AIは検索1位群だけを見ているわけではない」という同じ方向を指しているわけですね。AIは、11位だろうが50位だろうが、答えに使えると判断したページを平気で引用してくるわけです。

ここで一つ注意点を添えておきますと、これらはいずれも各社が自前のパネルやクロールで集めた商用の分析でして、対象期間も「引用」の定義も会社ごとに違うんですよ。だから38%と16.7%を直接くらべて優劣を語るのは無理がある。ただ、定義がバラバラな複数の調査が揃って同じ傾向を示しているという事実そのものは、わりと重く受け止めていいかもしれません。

なぜ順位とズレるのか:AIは「答えに使いやすさ」で拾う

じゃあなぜ、AIは検索順位を素直になぞってくれないのか。ここを理解しておくと、自社の打ち手がぐっと考えやすくなります。

ヒントは、同じ一連の分析が出している別の数字にあるんですよ。たとえば、ページの文章量とAIに引用される確率の関係を調べると、その「相関」はほぼゼロだったというんですね。「相関」ってのは、要は「片方が増えるともう片方も増える」という連動の強さのことなんですが、それがほぼゼロということは、長く書けば引用されるわけではない、ということになりましょう。従来の検索順位を決めてきた要因との連動も、はっきり弱まっているそうな。

要するにAIは、「検索で上位にいるか」よりも「その答えにそのまま使える中身が載っているか」でページを拾っているわけですね。生成AIの回答に引用されやすくする工夫は「GEO(Generative Engine Optimization、生成エンジン最適化)」と呼ばれて研究も進んでいますが(R)、そこでも一貫して効くのは検索向けの小細工ではなく、根拠のある中身そのものでした。

順位を取るためのテクニックと、AIに引用されるための中身は、必ずしも一致しないわけです。検索エンジン用にだけ磨き上げたページが、AIにはあっさり素通りされる。これは当然と言えば当然でしょうな。

でも、慌ててSEOを捨てる必要はない

ここまで読むと「じゃあもう順位なんてどうでもいいのか」となりそうなんですが、そうは問屋が卸さないわけです。

そもそも今この瞬間も、自社サイトへの流入の多くは、昔ながらの検索が支えているはずなんですよ。AIの引用が順位とズレてきたからといって、検索からの流入がいきなり消えるわけではない。ここで慌ててSEOの土台を引っこ抜いてしまうのは、家のリフォーム中に勢いで柱まで抜いてしまうようなもので、さすがに無謀っすね。

大事なのは、乗り換えではなく重心の置き直しなんですよね。検索順位は引き続き既存の流入を守る土台として残しつつ、それとは別の予算枠で「AIに引用される設計」を育てていく。この二段構えで考えるのが現実的でしょう。

順位表の外に、まだ取りに行ける露出がある

そんなわけで、今回いちばん持ち帰ってほしいのはこれです。検索で1位を取れていない会社にも、AI時代の露出を取り返す余地は、ちゃんと残っているということ。

AIはトップ10の外からも引用してくれるわけですから、順位レースで先頭集団に入れなかったとしても、根拠のある中身さえ用意できれば、引用というかたちで土俵に上がり直せるんですね。むしろ、これまで順位で勝ち切れなかった後発企業にこそ、効いてくる話かもしれません。

そのうえで、現場でやることは2つに絞れます。

ひとつは、検索順位とは別に「AIにどれくらい引用されているか」を測る習慣を持つことですね。順位表だけ眺めていると、せっかく取れている引用にも、ごっそり抜けている引用にも気づけないわけです。

もうひとつは、自社のページに、AIがそのまま答えに使える根拠をちゃんと載せておくこと。具体的な数字、一次情報の出典、分かりやすい説明、そのあたりが土台になります。順位を上げる作業とは別ものだと割り切って取り組むのが、近道になりましょう。

まだまだ新しい分野なので確定的なことは言えませんが、「上位を取れないからAIでも無理」という諦めは、データを見るかぎり、ちょっと早すぎるかもしれませんな。気になった方は、まず自社の主力ページがAIにどう引用されているか、数えてみるところから始めてみてくださいませ。


出典

  • Ahrefs (2026), “Only 38% of Google AI Overview Citations Come From Top 10 Pages”(DesignRush 経由), リンク
  • BrightEdge (2026), “AI Overview Citations and 16 months of AIO rank overlap”, リンク
  • 5W Research (2026), “Overlap Between Top Google Rankings and AI-Cited Sources Has Collapsed From 70% to Under 20%”, リンク
  • Aggarwal, P. et al. (2024), “GEO: Generative Engine Optimization”, KDD 2024, arXiv
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