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AIに引用される文章は"出典と数字"で4割変わる、キーワード詰め込みはもう卒業

POINT この記事のポイント
  • 引用・統計・出典を足すと可視性が最大4割アップ
  • 足した効果はAIの引用を測って初めて分かる

時間をかけて、ちゃんと根拠も調べて、丁寧に記事を書いた。なのにChatGPTに関連することを質問してみても、回答に自社の名前がちっとも出てこない。オウンドメディアに関わっていると、こういう「書いたのに拾われない」場面、増えてきていませんか。

へクス子も、いい中身さえ用意すればAIは勝手に拾ってくれるだろう、と長らく信じていたクチです。でも実際は、力作ほど無反応で、なんだか肩透かしを食らった気分になることも多いんですよね。

なんですが、これはコンテンツの「質」だけの問題ではなかったみたいなんですよ。AIに引用されるかどうかは、中身に加えて「どう見せるか」でけっこう動く。しかも、その効き目を数字で測った研究がちゃんとありまして。今回はそのへんを、実務に持ち帰れる形で掘り下げてみたいと思います。

「いい記事を書いてるのに、AIに名前が出てこない」のはなぜか

この問いに正面から取り組んだのが、プリンストン大学などのチームが発表した「GEO」という研究(R)であります。AI検索の国際会議で2024年に採択された論文ですね。

GEO(Generative Engine Optimization、生成エンジン最適化)ってのは、要は「生成AIの回答の中で、自社のコンテンツが引用・言及されやすくする工夫」のこと。検索向けのSEO(検索エンジン最適化)の、AI回答版みたいなものだと思ってもらえればいいです。

研究チームは、GEO-benchという大きなテスト用の問題集を用意しました。9つのデータセットから集めた、25分野・1万件の質問ですね。そのうえで、同じ中身のコンテンツにいろんな「書き方の工夫」を施し、AIの回答にどれくらい引用されやすくなるかを比べた、という設計になっています。

肝心なのは、比べているのが「中身の良し悪し」ではなく「見せ方の工夫」だというところ。同じ事実を扱っていても、提示の仕方しだいで引用されやすさが変わるのか、を検証したわけです。

何を足すと引用が増えたのか

で、結果がどうだったかと言いますと、これがなかなかはっきりしていました。AIの回答での可視性、つまり引用・言及されやすさを、上位の工夫は相対で30〜40%も押し上げたそうな。

特に効いたのは、次の3つでした。

  • 引用文を足す: 第三者の発言や一次資料からの引用を加えると、約44%アップ
  • 統計・数字を足す: 具体的な数値やデータを入れると、約34%アップ
  • 出典を明記する: 主張の根拠となる出典を示すと、約29%アップ

こうして並べてみると、どれも「主張に根拠の手がかりを添える」系の工夫だと気づきます。AIは、ただ言い切っているだけの文章より、引用や数字や出典で裏打ちされた文章のほうを、答えに使いやすいと判断しているらしいんですよ。

AIに効くのは「詰め込み」ではなく「根拠」だった

面白いのはここからでして。同じ研究では、従来のSEOでおなじみだった「キーワード詰め込み」も試しているんですが、こちらはなんと可視性が約8%下がってしまいました。

キーワード詰め込みってのは、検索で上に出るために、狙った語句を本文へこれでもかと盛り込むやり方のこと。検索エンジン時代にはそれなりに効いた小技ですね。それがAI相手だと、むしろ足を引っ張る側に回ってしまった。検索で通用したテクニックを、そのままAIに持ち込むと滑る、ということです。

この差は、AIと検索エンジンの「読み方」の違いから来ているんでしょう。検索エンジンは語句の一致を手がかりにしますが、AIは文章の意味と、その主張がどれだけ裏打ちされているかを見ている。同じ土俵に見えて、評価しているものが違うわけですね。昔の必勝法を握りしめたまま新しい盤面に座る(対戦相手だけこっそりアップデートされた格ゲーみたいなものですよ)と、ルールが変わったことに気づかず大負けする、というのはなんとも示唆的であります。

ちなみにこの効き目は分野によってばらつきもあるそうで、どんなコンテンツにも一律で同じだけ効く、という単純な話でもないらしい。そこは正直に留保しておきましょうな。

主張に「根拠」を足し、引用されているかを測る

そんなわけで、この研究が実務に教えてくれることをまとめておきます。

一番の収穫は、AIに引用されるかどうかは、運や中身の良さ任せではなく、こちらから手を入れて変えられるとわかったことでしょう。しかも効く打ち手ははっきりしています。

自社の主張や記事に、引用・数字・出典といった「根拠の手がかり」を意識して足しておく。たったこれだけで、AIの回答に拾われる確率は目に見えて変わってきます。逆に、検索時代のキーワード詰め込み発想は、そろそろ手放したほうがよさそうです。

もう1つ忘れたくないのが、「測ること」です。コンテンツに根拠を足したとして、それが実際にAIの引用につながっているかは、検索順位のレポートを眺めているだけでは見えてきません。自社が今どれくらいAIの回答に引用・言及されているかを、順位とは別のものさしとして定点で見ておく。打ち手と効果がつながって、はじめて「引用される設計」は回り始めます。

根拠を足して、引用されているかを測る。派手さはありませんが、AI時代に自社の名前を回答の中へ滑り込ませる近道は、案外このあたりにあるんじゃないかなと思います。


出典

  • Aggarwal, P., Murahari, V., Rajpurohit, T., Kalyan, A., Narasimhan, K., Deshpande, A. (Princeton University 他), “GEO: Generative Engine Optimization”, ACM SIGKDD Conference on Knowledge Discovery and Data Mining (KDD ‘24), 2024, arXiv
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