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AIの引用元、手が届かない場所ばかりと思いきや86%は自社で動かせた

POINT この記事のポイント
  • 680万引用の分析で、AIの参照元86%が自社サイトとリスティング
  • 「Reddit次第」と諦める前に、自分で動かせる出典を整える話

「AIの引用元なんて、こっちじゃどうにもできないでしょ」

前に、AIが回答を作るときの引用元はWikipediaやRedditに偏っている、という話をしたことがありました。あの記事を読んで、「じゃあ結局、自社にできることなんてほとんどないじゃん」と肩を落とした広報・マーケの担当者も、けっこういたんじゃないですかね。

へクス子の周りでも、「AIの言うことは匿名の掲示板次第なら、もう打つ手なしだ」と半ば諦めモードに入っている人を見かけました。自分でコントロールできない場所で評判が決まるなら、頑張りようがない、というわけですね。

ところが、最近出てきた別の大規模調査をのぞいてみると、ずいぶん違う絵が見えてくるんですよ。AIが参照している出典の8割以上は、実は「自分で手を入れられる場所」だった、という結果でして。今回はこの食い違いも含めて、AIの引用元はどこまで自社で動かせるのかを掘り下げてみたいと思います。

680万件を調べたら、引用元の86%は「自分の庭」だった

その調査というのが、デジタルプレゼンス管理を手がけるYextが2025年に公開したものです(R)。ChatGPT・Gemini・Perplexityの3つのAIに、各モデル160万クエリずつを投げて、そこから集まった合計680万件もの引用が、どこを出典にしているかを分析しております。

で、その結論がなかなか痛快なんですよ。引用元の内訳を見ると、こうなっておりました。

  • 自社サイト: 290万件で全体の44%
  • リスティング: 290万件で42%
  • レビュー・ソーシャル: 54.5万件で8%

上位ふたつ、つまり自社サイトとリスティングだけで86%を占めているわけですね。一方、ロケーションや検索意図の条件をそろえて測ると、Redditのような第三者フォーラムはわずか2%にとどまったそうな。

ここで出てきたリスティングってのは、要は「Googleビジネスプロフィールや各種ディレクトリに登録されている、店舗や企業の基本情報」のことです。住所、営業時間、カテゴリ、取り扱いといった、自社で記入・修正できる情報ですね。自社サイトと合わせれば、どちらも手が届く場所であります。

AIによって、見ている場所のクセがけっこう違う

ただ、「じゃあ全部のAIで自社サイトを整えればOK」かというと、そう単純でもないんですよね。同じ調査の中で、AIごとに引用先のクセがはっきり分かれていました。

  • Geminiは自社サイトを重視(52.1%)
  • OpenAI(ChatGPT)はリスティング寄り(48.7%)
  • PerplexityはMapQuestやTripAdvisorなど、いろんな出典に分散

さらに業種でも傾向が変わります。小売は自社サイトが47.6%、金融も自社サイトが48.2%と高いのに対して、ヘルスケアはディレクトリ系のリスティングが52.6%、飲食はレビュー・ソーシャルが13.3%と、ここだけ口コミの比重が高くなっておりました。

つまり、自社の業種と、お客さんがよく使うAIによって、力を入れて整えるべき場所が変わってくるわけですね。一律に「とりあえず公式サイトを磨こう」ではなく、「うちの業種だと、どのAIが、どこを見て答えているのか」をまず知る必要がある、ということになりましょう。

「前にReddit頼みって言ったよね?」という食い違い

さて、ここで鋭い方は引っかかったはずです。前回は「AIの引用元トップはReddit」という話だったのに、今回は「Redditは2%」。真逆じゃないか、と。

これ、どちらかが嘘をついているわけではなくて、測り方の違いから生まれているんですよ。前回紹介した集計(R)は、一般的な知識や話題を広く問うクエリを横断的に集めたものでした。

対して今回のYextの調査は、ロケーション文脈と検索意図をそろえ、小売・金融・ヘルスケア・飲食という、店舗やブランドにひもづく問い合わせ中心の世界を見ています。問いの性質がそもそも違うわけですね。

同じ「AIの引用元」を測っても、前提の条件が違えば結論がひっくり返る。健康診断の数値が、測る時間帯や食事のタイミングでけっこう変わってしまうのに近い話ですね。

ということは、読み取るべき教訓はシンプルです。「AはBである」と一般化された他人のランキングを鵜呑みにしても、自社の答えにはならない。一般知識を問う場面ではWikipediaやRedditが顔を出し、自社名や店舗を問う場面では自社サイトやリスティングが効いてくる。どちらが自社にとって重要かは、自社の名前で、自社の業種で測ってみないとわからないわけです。

まず手を付けるのは「自分で動かせる8割」

ここまでをまとめると、AI時代のブランド露出は、第三者が語る場所だけで決まるわけではない、ということですね。少なくとも店舗やブランドにひもづく問い合わせでは、引用の86%が自社サイトとリスティングという、自分の庭から来ている。手が届かない場所に振り回される前に、まず手が届く8割を整えるのが順番だ、という話になります。

へクス子も、最初は「掲示板次第なら打つ手なし」と思い込んでいた口なんですが、こうして見ると話は逆でした。具体的にやることは、ふたつに絞れます。

ひとつは、自社サイトとリスティングの基本情報を、最新かつ正確な状態にそろえること。会社名・カテゴリ・取り扱い・指名されたい情報が、古いまま放置されていないかを点検するところからですね。AIは、そこに書いてあることをかなり素直に拾ってきますから、ここがズレていると、その分そのままAIの回答もズレてしまいます。

もうひとつは、整えたうえで、自社のAI露出を「自社の業種と、よく使われるAI」の条件で定点観測することです。Geminiは自社サイト、ChatGPTはリスティング、と見る場所が違う以上、どこを直せば効くのかは、自社の状況を継続的に見て初めて判断できますからね。

なお、第三者の場所での評判づくりが要らなくなったわけではありません。一般知識を問う文脈ではそちらが効くという話は前回のとおりです(こちら)。自分の庭を整えるのが先、世間の評判を育てるのが次。その順番で考えると、打つ手なしに見えたAI対策も、案外こちらから動かせる余地が大きいことが見えてくるんじゃないでしょうか。


出典

  • Yext (2025), “Yext Research: 86% of AI Citations Come from Brand-Managed Sources”, リンク
  • Contently (2026), “Top Sources LLMs Cite Most in 2026”, リンク
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