もどる HexScope Lens

ChatGPTに広告が入った途端、ブランドの露出が4割も消えた件

POINT この記事のポイント
  • ChatGPT広告導入後、ブランド引用が5週で4割減った
  • 総量は戻っても引用元の顔ぶれは恒久的に変わった

「AIに何回出てくるか、一度測れば十分でしょ?」

自社ブランドがAIにどう見えているか気になって、ChatGPTに何回か聞いてみた。何回出てきたかを数えて、「ふむ、だいたいこんなものか」とノートにメモする。そういう測り方をして、ちょっと安心した方も多いんじゃないですかね。

へクス子も、一度きちんと数えたなら、その数字はしばらく信じていいものだと思っていました。露出ってのは、身長みたいに「測ったら当面はその値」だと、なんとなく考えていたわけです。

ところが、どうやらそうも言っていられないらしいんですよね。AIに映る自社の姿は、自分が何かを変えなくても、プラットフォーム側の都合でけっこう揺れる。今回は、その「動いてしまう露出」を1.7億件もの実データで追いかけた調査を、ちょっと覗いてみたいと思います。

1.7億件のAI回答を16週間ながめ続けた調査

紹介するのは、AI可視性の計測ツールを手がけるAirOpsが公開した大規模レポート「The 2026 State of AI Search」ですね(R)。

約3,000ブランドについて、ChatGPTやPerplexity、Geminiといった主要なAIの回答を、継続的に計測したものであります。

規模がなかなかのもので、2025年12月から2026年3月までの16週間で、生成されたAI回答は1.7億件、そこに含まれる引用のレコードは5億件を超えたんだそうな。

ここでいう「引用」ってのは、AIが回答を作るときに参照した元ページのことでして、要は「AIがどのページを根拠にして、どのブランドに触れたか」の記録だと思ってください。これがマーケターにとっては、自社がAIに取り上げられた回数そのものになるわけですね。

「広告が入った日」を境にブランドの引用が消えた

で、この調査がいちばん生々しいのは、ある「事件」の前後を実データでとらえてしまったところです。

事件ってのは、2026年2月9日にOpenAIがChatGPTの中に広告表示を始めた、というものですね。600社を超える企業が出稿したそうで、AIの回答画面に広告が並ぶようになったわけです。

すると何が起きたかと言いますと、ブランド系のクエリ、つまり「おすすめの〇〇は?」みたいな質問に対して、回答1件あたりのブランド引用数が平均4.95から2.96まで落ち込んだんですよ。期間にしてわずか5週間、率にして41%減ですなぁ。

自分は何も変えていないのに、AIに登場する回数だけが勝手に4割そげ落ちる。これはもう、地震計を眺めていたら本震をとらえてしまった研究者くらい、運の良い(そして恐ろしい)観測でしょう。マーケターからすれば、施策の良し悪しとは無関係に露出が動くわけですから、たまったものではないわけですね。

数は戻った、でも引用される顔ぶれが変わった

じゃあそのまま露出が半減したのかというと、そうでもないらしいんですよね。

3月下旬には引用数が約4.5まで回復しまして、これは広告導入前の12月を基準にすると、だいたい9割の水準まで戻った計算になります。数字の総量だけ見れば、へクス子も「ああ、一時的なショックだったのね」で片付けたくなるところでしょう。

ところが、ここに落とし穴があるわけです。総量はほぼ戻ったのに、ブランド系クエリでどんな種類のソースが引用されるか、その構成は恒久的に変わってしまったとAirOpsは指摘しております。総数が同じでも、引用してくる「顔ぶれ」が入れ替わったということですね。

中身が別物になったのに、合計点だけ見て安心するのは、メンバーが総入れ替えになったチームを、勝ち点が同じだからと去年と同じだと思い込むようなものでしょう。露出の数字がもとに戻っても、AIがあなたを「どこ経由で」語るかは、もう以前と同じではないわけです。

そもそもブランドは、どこから引用されているのか

ではその「顔ぶれ」とは具体的に何かというと、これがまた、自社サイトの努力だけではどうにもならない場所なんですよ。

AirOpsの計測では、AI回答に含まれる引用のうち約48%が、RedditやYouTubeといったコミュニティ系のプラットフォーム由来だったとのことです。さらに、ブランドへの言及にいたっては、その85%が自社ドメインではなく第三者のページ起点だったんだそうな。

「第三者ページ」ってのは、要は自社の公式サイト以外、つまりレビュー記事や比較サイト、掲示板での口コミといった、他人の土俵のことですね。

つまり、AIがあなたのブランドを語るとき、その根拠の大半は自社サイトの外にあるわけです。公式サイトをいくら磨き込んでも、AIが見ているのはむしろ、世間があなたについて何を書いているかのほうだと。ここが揺れれば、当然あなたの露出も揺れるわけっすね。

結論: AI露出は「測って終わり」ではなく追い続ける指標

ここまでの話をまとめると、AIでのブランド露出は、一度測って棚にしまっておける静的な数字ではない、ということになります。プラットフォーム側が広告を入れたりモデルを更新したりするたびに、自分の施策とは関係なく、短期間で大きく揺れるわけですね。

だとすると、マーケターやブランド担当が取るべき構えは、だいたい2つにしぼられましょう。

まず、AI露出は健康診断のように定点で追う、と腹をくくることです。年に一度の単発計測では、今回のような5週間で4割という変動を、まるごと見落としかねません。「先月と比べてどう動いたか」を継続的に見て初めて、それが自社の施策によるものか、プラットフォーム側の地殻変動なのかを切り分けられるわけです。

もう一つは、目を向ける先を自社サイトの外まで広げることですね。引用の半分がコミュニティ系、言及の85%が第三者ページという以上、レビューや比較記事、口コミでの語られ方こそが、AIに映る自社の姿を左右します。

自社ドメインの中だけを整えて満足するのは、そろそろ卒業したほうがいいのかもしれません。AIの向こう側で誰が自社を語っているのか、まずはそこを一度のぞいてみてはいかがでしょうか。

記事一覧にもどる