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自社サイトがAIに何万回も読まれてるのに、流入はほぼゼロな件

POINT この記事のポイント
  • 3.8万ページ読まれても戻る訪問はわずか1人
  • 見るべきはAIによる自社の読まれ方と語られ方

「アクセス解析は横ばいなのに、流入の入り口が変わってきた」

自社サイトのアクセス解析を眺めていて、ページビューは大きく崩れてないのに、なんとなく問い合わせや指名検索の入り口が前と変わってきたな、と感じることってないですか。

へクス子の周りでも「検索流入がじわじわ減ってる気がする」「でも原因がはっきり言えない」という声を、ちらほら聞くようになりました。数字を眺めても犯人が見つからない、あのモヤモヤした感じですよね。

なんですが、その違和感の裏側には、AIがあなたのサイトをものすごい勢いで読みに来ている、という事情があるかもしれないんですよ。

今回は、AIが「どれだけ読んで、どれだけ人を返してくれるか」を実際のトラフィックから測ったCloudflareのデータ(R)をもとに、そのへんを掘り下げてみたいと思います。

そもそも「クロール対流入比」ってのは何か

Cloudflareが出してきた指標が、crawl-to-refer 比率、日本語にすると「クロール対流入比」と呼ばれております。

これってのは、要は「あるAIが自社サイトを何ページ読みに来たか」を「そのAI経由で実際に何人が訪問してくれたか」で割った数字なんですね。数が大きいほど「たくさん読むのに、ほとんど人を返さない」状態を表すわけですね。

Cloudflareは自社ネットワークを通過する本物のトラフィックを集計できる立場なので、ここで出てくる数字は推計ではなく実データです。では、その実態がどうだったかを見てみましょう。

2025年7月、AIは「読むだけ読んで返さない」

2025年7月時点の主要プラットフォームの比率が、こうなりました。

  • Anthropic: 38,065対1(3.8万ページ読んで、流入はやっと1人)
  • OpenAI: 1,091対1
  • Perplexity: 195対1
  • Google: 5.4対1

数字の桁がまるで違うのが、ひと目で分かるでしょう。昔ながらの検索に近いGoogleは5.4対1、つまり5ページちょっと読むごとに1人返してくれる。ところがAnthropicは、3.8万ページ読んでようやく1人なわけです。なかなかにエグい偏りですなぁ。

「AIに読まれる」ことと「人が来る」ことは、もはや別物だということですね。コンテンツを大量に学習されても、従来の検索のような流入としては、ほとんど返ってこない構造になっているんですよ。

Anthropicは半年で改善した、でも桁が違う

ちなみにAnthropicも、ずっとこの調子だったわけではありません。2025年1月時点ではなんと286,930対1で、半年で38,065対1まで、約86.7%も比率を縮めています。Web検索機能と回答内での直接引用を実装したのが背景だそうな。

とはいえ、改善後でも3.8万対1です。図書館を一棟まるごと読み尽くしておいて、帰り際に一冊も借りていかない客くらいの薄情さでありますよ。

逆に悪化したところもありまして、Perplexityは54対1から195対1へと、流入に対してクロールが大きく増えてるわけっすね。プラットフォームごとに引用や流入還元の方針が分かれていて、「AIは読むだけ」の度合いも一律ではない、ということですね。

「検索が20%減った」というもう一つの裏取り

「読まれても来ない」を、流入される側のデータからも確かめておきましょう。ロンドン・ビジネス・スクールとUCLAの研究チームが、2,014世帯・約120万件のページ閲覧データを分析しております(R)。

で、結果がどうだったかと言いますと、ChatGPTを使い始めた世帯では、20週間以内に従来の検索の量が20%超も減っていたんだそうな。特に「○○ってどうやるの?」みたいな質問型の検索が大きく落ちて、小規模なサイトのトラフィックほど直撃を受けていたわけです。

一方で、面白いのが、ブランド名を直接指名する検索はほぼ影響を受けていなかった点なんですよね。AIが奪っていくのは「なんとなくの調べもの」であって、「あの会社のあれが欲しい」という指名の入り口は残っている、ということになります。

結論: 流入数だけを追う計測から卒業する

ここまでをまとめると、AIは自社コンテンツを桁違いの量で読み込む一方、流入としてはほとんど返してきません。そして全体の検索量も、20%超のレベルで縮んでいきます。流入の数だけをにらんでいると、この地殻変動を「なんか最近減ったね」で片づけてしまうわけです。

ではマーケターとして何を見ればいいかというと、軸を一つ足すのが現実的でしょうな。流入数という「来た人の数」だけでなく、AIが自社をどう読み、どう語り、どこで引用しているかという「来る前の見え方」を測る発想ですしね。検索が減ってもブランド指名が無傷だったように、AI時代に効くのは結局、AIの中での自社の語られ方ですからね。

具体的にまず一歩を踏み出すなら、自社の主要なテーマについてChatGPTやClaudeに質問を投げてみて、自社がどう紹介され、どのサイトが引用元として出てくるかを記録するところからで十分でしょう。流入レポートの隣に、その「AIの中での見え方」の定点観測を一列足してみてください。ここが、これからのアクセス解析の新しい一丁目一番地になっていくはずですよ。


出典

  • Cloudflare (2025), “The crawl-to-click gap: Cloudflare data on AI bots, training, and referrals”, リンク
  • Lambrecht, A., Padilla, N. (London Business School) & Lam, H.T., Hollenbeck, B. (UCLA) (2026), “The Impact of LLM Adoption on Online User Behavior”, リンク
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