もどる HexScope Lens

「ChatGPTで検索が減る」時代、SEOの次の一手を考えてみよう!

POINT この記事のポイント
  • ChatGPT利用世帯は20週で検索量が2割超ダウン
  • 減るのは情報探索型、守る検索対策と伸ばすAI検索対策を分ける

「SEOやってれば大丈夫」が通用しなくなるかもしれない話

マーケティングに携わっている方なら、SEO対策にそれなりの時間と予算を投じてきたはずです。検索エンジンで上位表示されること。それがオンライン集客の大前提だったわけですね。ところが、ここにきてちょっと不穏なデータが出てきておりまして、ChatGPTを日常的に使い始めた人たちの「Google検索の量」が、目に見えて減っているんだそうな。

これ、へクス子も含めて「まあ、そうだろうね」という肌感覚がある方は多いでしょう。でも、実際にどれくらい減っているのか、どんな種類の検索が影響を受けているのか。ロンドンビジネススクール(LBS)とUCLAの共同研究が、2,014世帯のブラウザ行動データ、約120万URLを追跡して定量的に明らかにしたんですよ。

検索ボリューム20%超の減少、ただし全部ではない

で、結果がどうだったかと言いますと、ChatGPTを3週連続で使った世帯では、採用から20週間以内に従来のオンライン検索ボリュームが20%超減少しておりました。ただし、ここが重要なんですが、減っている検索と減っていない検索がはっきり分かれているんですよね。

  • 質問型の検索(「○○とは」「○○ やり方」のような調べもの)は顕著に減少
  • (「Amazon」「楽天」など特定サイトに行くための検索)はほぼ影響なし
  • ブランド指名検索も同様に耐性がある

要するに、「何かを知りたい」という情報探索型のクエリがChatGPTに吸い取られているわけです。一方で、「あのサイトに行きたい」というナビゲーション目的の検索には影響がないということですね。

さらに厄介なのが、この影響がサイトの規模によって偏っていることであります。小規模サイトのトラフィックは大幅に減少した一方、大規模な確立済みサイトは比較的耐えているんですよ。

教育系コンテンツサイトが最も強い打撃を受けたというデータも出ています(Stack Overflowの訪問数は減少、WikipediaやRedditは影響なし)。小規模サイトにとっては、まるで大型ショッピングモールの隣に引っ越してきた巨大百貨店みたいな存在かもしれません。

GEOは「SEOの代替」ではなく「別の勝負軸」

となると、「検索が減った分、どう対応すればいいのか」が気になるところでしょう。ここで出てくるのが「GEO」という概念であります。

GEOってのは、「Generative Engine Optimization」の略で、要は「AIの応答の中で自社のコンテンツを参照してもらうための最適化」です。

従来のSEOがGoogleの検索結果で上位表示を狙うものだったのに対して、GEOはChatGPTやPerplexity、Geminiといった生成AIが回答を作るときに「情報ソースとして選ばれる」ことを目指すんですよね。

この概念を最初に定義したのがプリンストン大学などの研究チームで、2024年のKDD(データマイニングのトップ学会)で発表されているんですよ。彼らが構築したベンチマークでは、GEO手法を適用することで生成エンジンの応答におけるコンテンツの可視性を最大40%向上できたんだそうな。

AI検索には「参照元の偏り」というクセがある

でですね、「じゃあGEO対策をすればいい」と言いたいところなんですが、話はそう単純でもないんですよ。トロント大学のChenらによる2025年の研究が、AI検索エンジンの「クセ」を詳しく調べておりまして、これがなかなか興味深いんですよね。

まず、AI検索はアーンドメディア(第三者の権威あるソース)を体系的に優先する傾向があるんだそうな。自社サイトのコンテンツ(オウンドメディア)やSNS投稿よりも、業界メディアの記事や専門家のレビューのほうがAIに拾われやすいわけです。Googleが比較的バランスよくオウンド・ソーシャル・アーンドを扱うのとは対照的ですね。

さらに、ChatGPT、Perplexity、Geminiの間で、ドメインの多様性、コンテンツの鮮度、クエリの表現に対する感度がまるで違うんですよ(AIモデルの設計差が実力差を生むメカニズムは、こうした表面的な振る舞いの違いにも通じています)。

SEOでは基本的にGoogleという1つのエンジンを相手にしていればよかったわけですが、GEOでは複数のAIエンジンそれぞれの特性を考慮する必要が出てきます。

ここに「大手ブランドバイアス」、つまりAIが知名度の高いブランドを優先的に参照しやすい傾向も加わってくるわけです。

検索から流れた先でも「まだ過渡期」だとわかる

ここで一つ、実データの話をしておきましょう。ゲーテ大学フランクフルトとマンハイムビジネススクールのKaiser & Schulzeによる、973のECサイト(合計売上約$200億)を12ヶ月間追跡した研究があるんですよ。

ChatGPTからのリファラル5万件超と、従来チャネル1.64億件の取引データを比較したものです。

結果としては、ChatGPT経由のコンバージョン率はペイドソーシャルを上回るものの、オーガニック検索やメールなど他の従来チャネルにはまだ及ばないということですね。面白いのは、商品の複雑さが高いカテゴリほどChatGPT経由の成果が良いという点です。つまり、「比較検討が必要な複雑な商品」ほど、AIに相談して買う流れが機能しているわけですね。

12ヶ月を通じてコンバージョン率は着実に改善しているんですが、平均注文額の低下が全体的な効果を相殺している状況でもあります。まだ「Google検索を置き換えた」とは言えないけれど、成長トレンドにあることは確かなわけっすね。

結論: SEOを捨てずに「守る領域」と「移す領域」を分ける

WhartonのPuntoni教授がHarvard Business Reviewで整理しているように、これは「SEOが死んだ」という単純な話ではありません。検索の中身が分岐し、クリックして読む領域と、AIの回答内で完結する領域が分かれ始めている、という話です。

だから、既存SEOを捨てるのではなく、守る領域とGEOへ移す領域を分けるのが現実的でしょう。情報探索型コンテンツは、FAQ構造化、一次情報の明記、第三者言及の獲得をセットで見直す。LBS/UCLAの行動変化データやPrincetonのGEO研究は、どの検索タイプが落ちるかを四半期ごとに確認する材料になります。

流入後のCVRやカテゴリ差まで含めて戦略を組むなら、ChatGPT流入は買われやすい。でも主力化はまだ早いが続きになります。


出典

  • [R1] Lambrecht, A., Padilla, N. (London Business School) & Lam, H.T., Hollenbeck, B. (UCLA), “The Impact of LLM Adoption on Online User Behavior”, 2026. LBS
  • [R2] Aggarwal, P., Murahari, V., Rajpurohit, T., Kalyan, A., Narasimhan, K. & Deshpande, A., “GEO: Generative Engine Optimization”, KDD 2024. arXiv
  • [R3] Chen, M., Wang, X., Chen, K. & Koudas, N., “Generative Engine Optimization: How to Dominate AI Search”, 2025. arXiv
  • [R4] Kaiser, M. & Schulze, C., “ChatGPT Referrals to E-Commerce Websites”, SSRN Working Paper, 2025. SSRN
  • [R5] Puntoni, S., “AI Is Upending Marketing on Two Fronts”, Harvard Business Review, 2026-02-23. HBR

関連記事

記事一覧にもどる